私たちは生まれてから死ぬまでの間に、さまざまな病気にかかります。風邪やインフルエンザ、はしか、ノロウィルスによる急性胃腸炎、結膜炎や中耳炎、さまざまな皮膚炎、関節炎など、数え上げたらきりがありません。
これらの病気の因子は、生まれたときからすでに持っているものを考えられます。つまり、私たち人間は病気の種を持って生まれてきていて、ある条件が整うと病気の種が発芽して、発病ということになるのです。
このメカニズムが最もわかりやすいのががんです。そもそもがん因子は誰もが持っているものだと思っていいのです。健康な人でも1日に6000個ほどのがん細胞が発生していることもわかっています。しかし、がんが発症する人としない人が存在します。がん因子が活動をはじめると細胞化して異常増殖を起こします。それが病巣となるほど大きく増殖してしまうのは、発がん性物質などがんの引き金となる物質が体内に入り込んでしまい、免疫機能など、がんの発生、増殖を抑制する働きが低下するためです。
「発がん性物質」とは、前でお話しした汚血の原因となる毒素のなかのひとつです。上のイラストで説明するように、放射線や煙草などといった発がん性物質が体内に入り込み、汚血として蓄積されていきます。蓄積され続けていくうち、ある時点で、生まれついて持っている発がん因子が動き出し、細胞が異常繁殖をしてがんになってしまうのです。
コップの中に少しずつ水滴を落としていくと、しまいにはついにあふれてしまいますね。がん因子が動き出すのも、これとよく似ています。「毒素=水」が「コップ=体」に入り続け、汚血がたまりにたまっていき、ついには病気となって発症するというわけです。
DrTSAI〜